『東日本大震災』 を建築家として考える
東日本大震災から間もなく20日が過ぎようとしています。 設計に携わる者として津波の後の状況に言葉もありません。
「風景と建物の記憶」を設計の根幹に据えてきた建築家、安藤忠雄はこの現状を
「これほどの範囲で風景が消え、物理的にも精神的にも全てが一気に奪われるとは」 とその変わりようを悼んでいます。
また陸前高田に住んでいた女性は、土地に慣れ親しみ自分の原風景だった景色が、一瞬にして眼前で消えた現状に 「みんな、もう海辺には住まない」 とテレビで声を震わせていました。
家を建てるという設計に身を置く者として、どんな言葉をかけてよいか分かりません。
震災後2週間以上経っても、東京のどのスーパーに行っても水さえ買えない状況は、こんなにも経済基盤や精神風土が脆かったのかと思い知らされます。
より便利に、より快適な生活を追い求めてきた暮らしも、根底から見直さなくてはならないことは必須でしょう。
原発事故の拡大と計画停電は、豊富な電力が当たり前のようにあるという前提で、安易に推し進められてきた住まいの『オール電化』への反省と警鐘でしょう。
風が通らない気密性の高い部屋を作り、換気は電気で行う『24時間換気』。
節水を含め、電気に頼る便利すぎる『便器』や『水洗器具』といった衛生機器。
電気が停電になり、エレベータが止まり、断水になった高層マンションの暮らし。
かつての住まいと暮らしには考えられなかった豊かさゆえの問題が、突きつけられています。
建築家として様々な問題を真摯に受け止め、時間をかけて考えていきたいと思います。


